新型感染症拡大対策としてテレワークが注目され、働き方が大きくシフトしています。また、多くの企業がさまざまなSaaSサービスを利用し、企業の情報系および基幹系システムもクラウドに移行しています。そのような中、セキュリティと同時に頻繁に懸念事項としてあげられるのは、リモートからシステムを利用する上でのユーザエクスペリエンスの低下です。
今回も北米製品担当によるブログの内容を日本語でご紹介します。
WANを介した仮想デスクトップのユーザエクスペリエンス改善手法の一つとしてのSD-WANの効果を、実測値を交えて解説しています。拠点側クライアントがWAN越しにVDAにアクセスする際、WANの回線品質によりどの程度の影響があるか、またSD-WANによりどの程度改善されるかが発表されていますので是非ご一読ください。
計測項目としては、仮想アプリまたはデスクトップセッションにおいてユーザーがコンテンツをリクエストしてから応答が表示されるまでの経過時間であるICA Round Trip Time(RTT)を計測しています。以下3パターンのWAN構成について、遅延や輻輳、パケットドロップなどWANで起こりうる回線品質の低下をシミュレーション条件として追加し、それらがICA RTTにどの程度影響を与えたか観察したところ、非常に興味深い結果となっています。
- Router+MPLS構成
- SD-WAN+MPLS構成
- SD-WAN+MPLS+Internet併用構成
オリジナルコンテンツ(英語)は以下リンクとなります。
Citrix Virtual Apps and Desktopsのワークロードがクラウドに移行することに伴い、インターネット接続に一般的な問題が発生した状況においても、「応答性」と「快適なユーザーエクスペリエンス」を維持することの重要性が大きく高まってきています。このような課題について、Citrix Tech Zoneチームが最近発表した2つの資料が参考になります。
はじめに参考にしたい資料は、テスト手法でありレポートでもある、 Measuring HDX User Experience Improvements from Citrix SD-WAN Network Performance Enhancementsです。2番目のものはPoCガイド、Citrix SD-WAN Cloud-to-Data-Center Connectivityです。これらの新しい資料は、3月に公開されたIntroduction to Citrix SD-WAN for Citrix Workspaceを補う資料です。
以前、ブログ記事(英文)でCitrix Virtual Apps and Desktopsをクラウド内に置く企業や組織にとって、なぜCitrix SD-WANが推奨される接続ソリューションであるかを解説しました。ここではCitrix SD-WANが、どのようにマルチストリームのAutoQoSと選択的なパケット複製によりHDXトラフィックを最適化し、クラウドに置かれたVDAとオンプレミスのリソースの間に信頼性の高い接続を確立するかが示してあります。Citrix Tech Zoneチームがこのたび発表した新しい資料の要約は以下のとおりです。
- ネットワークが混雑している、あるいはレイテンシーが拡大した場合において、Citrix SD-WANによって得られるユーザー・エクスペリエンスの劇的な改善を定量的に評価
- セキュリティの確保された「仮想パス」経由でクラウドからデータセンターへの接続を確立し、同時にパフォーマンスを改善
またCitrix Cloud内のSD-WAN Orchestratorサービスを使い、Microsoft Azure内にCitrix SD-WANをセットアップする効率的な手順についても近く参考資料が公開される予定です。
CitrixのTech Zoneチームは、Citrix Virtual Apps and Desktopsのユーザーエクスペリエンスを、従来型のルーティングネットワークとCitrix SD-WANリンクボンディングとで比較するテストを行いました。ユーザーの接続状況を集約したレポートによれば、米国企業のインターネット接続は平均して月に3.5時間完全にダウンし、また月に23時間は使用不可能(「稼働している」とされているが実際には「ダウン」)の状態にあるとされています。このテストでは、企業のブランチオフィスが経験する、典型的なネットワーク関連の問題を再現したテストケースが使用されました。
結果
Citrix SD-WANがHDXのユーザーエクスペリエンスをどの程度改善したかを見てみましょう。Tech Zoneチームは、遅延、輻輳、パケットドロップなどが伴うビデオや大きなファイルの転送において、ICA Roundtrip Timeとして測定された双方向の値が大きく改善した(194%から500%超まで)ことを観察しました。このようなパフォーマンス改善はCitrix SD-WANが持つ、リアルタイムのネットワーク状況に基づいてトラフィックの経路を動的に割り当て、またHDXデータストリームを特定し、ICAサービスクラスに従ってそれを優先的に処理することのできる機能によって得られたものです。
またクラウドからデータセンターへの接続に関するPoCガイドでは、Azureテナント環境とオンプレミスのリソースの間に接続を確立するための手順が順を追って示されています(Citrix SD-WAN VPXはAWSとGCPでもサポートされています)。Citrix Cloudに置かれたCitrix SD-WAN Orchestratorは、ネットワーク接続の管理と監視を集中的に実施できます。ゼロタッチのコンフィグレーション設定とテンプレートを通じ、SD-WAN 110 SOHOアプライアンスを使うテレワーク従業員を含め、ブランチオフィスの多数のアプライアンスを迅速に展開することが可能です。
Citrix Virtual Apps and Desktopsのハイブリッド、マルチクラウド展開を計画する際には、信頼性に優れた接続とユーザーエクスペリエンスを実現するためCitrix SD-WANもそれに含めてください。