このブログは、NetApp UK のKirk Ryan氏、Fujitsu UKのAndi Kelcher氏の許諾およびネットアップ合資会社の協力を頂き、以下の記事をベースに執筆、投稿しています。
Azure Virtual Desktop (and Citrix) with FSLogix
https://kirkryan.co.uk/2019/12/12/windows-virtual-desktop-and-citrix-with-fslogix/amp/
テレワークの普及やビジネスの海外展開などに伴い、Azureデータセンター上にVDIを展開するケースが非常に増えています。オンプレミス環境と比べ、低コストで柔軟かつスピーディにVDIを展開できるのが大きなポイントです。
特にテレワークは新しいワークスタイルの標準になりつつあり、クラウドベースのVDIも、更に安全に、低コストで常にユーザーに最高のエクスペリエンスを提供し続ける環境である必要があります。
今後クラウドVDIを展開する上でのいくつかポイントを紹介していきたいと思いますが、今回はクラウドVDIでの重要な検討項目であるプロファイルやデータの保存場所について考えてみたいと思います。
Azure VDI環境の最適なプロファイルの置き場所は?
テレワークの普及やビジネスの海外展開などに伴い、Azureデータセンター上にVDIを展開するケースが非常に増えています。オンプレミス環境と比べ、低コストで柔軟かつスピーディにVDIを展開できるのが大きなポイントです。特にテレワークは新しいワークスタイルの標準になりつつあり、クラウドベースのVDIもより安全に、より低いコストでユーザーに最高のエクスペリエンスを提供し続ける必要があります。。
Azure上でVDIを展開する際に課題となるのが、プロファイルやユーザーデータなどの格納場所です。
キオスク端末など特定の用途を除けばプール型やWindows 10マルチセッションに代表されるセッション共有型のVDIでは、移動ユーザープロファイルの利用が必須です。すなわち最適な移動ユーザープロファイル方式や保存場所、更にユーザーデータ含めたデータの格納場所の選定が重要となってきます。
ここでは少しユーザープロファイルにスポットをあてて、FSLogixについて説明したいと思います。
2018 年 11 月 19 日、Microsoft 社は FSLogix 社を買収しました。 2019年9月30日のAzure Virtual Desktop のGAに合わせて、Microsoft社としてのFSLogixがGAになりました。
FSLogixには下記の5つの主要な機能がありますが、特に移動ユーザープロファイルに関わるのは太字の3つです。
- ユーザープロファイルコンテナ
- クラウドキャッシュ
- Office 365コンテナ
- アプリケーションマスキング
- Javaバージョン管理
ユーザープロファイルコンテナはユーザープロファイルをVHD/VHDXの形式でネットワーク上に保存して、ログイン、ログアウト時に各セッションにドライブとしてマウントします。これによりログイン、ログアウトによるプロファイルのロード時間を短縮します。
クラウドキャッシュはユーザープロファイルコンテナやOffice 365コンテナを、ファイルサーバーやBlobなど指定した最大4箇所に同時に保存する機能です。複数個所にコンテナを保存することで、プロファイルの冗長性や可用性を高めることができます。
Office 365コンテナはWindowsのマルチユーザーOS環境でOffice 365アプリケーションの互換性を高める機能になります。これによりマルチユーザー環境においてもOutlookのOSTファイル(キャッシュモード)やOneDriveのキャッシュ、SkypeのGAL(Global Access List)などサポートします。
FSLogixプロファイルコンテナーの詳細はこちらになります。
https://docs.microsoft.com/azure/virtual-desktop/create-fslogix-profile-container
これらのFSLogixコンテナはじめユーザーデータ、VMイメージの保存場所として、可用性とパフォーマンスに優れたスケーラブルなストレージが必要になります。またActive DirectoryおよびNTFSアクセス権をネイティブでサポートすることも重要です。
国内のAzureデータセンターでも上記の要件を満たすAzure NetApp Filesと呼ばれる、優れたAzureファイルサービスが提供されました。これによりFSLogixのプロファイルコンテナーやWindowsファイル共有環境用の高性能なストレージを簡単にAzureのVNETに展開できるようになりました。
なぜFSLogixとAzure NetApp Filesなのか?
FSLogixプロファイルディスク(VHD/VHDXファイル)は、ユーザーデータやアプリケーション構成、設定の唯一のソースとなります。従って障害やデータ損失、停止から保護することが重要です。このディスクを紛失すると、すべてのユーザーデータも失われます。更にストレージのパフォーマンスもログオン時間を改善するため重要なポイントとなります。
ここで富士通UKのAndi Kelcher氏によるパフォーマンステストの結果を共有したいと思います。
「AzureのBLOBストレージを使ったの従来の構成からAzure NetApp Filesに移行することで、ログイン時間だけ見ても劇的にパフォーマンスが向上することを確認することができます。」Andi Kelcher氏
ログオン時間の改善
Fujitsu UK Kelcher氏による検証結果 |
Citrix Performance AnalyticsでSession Logon Duration見ると「セッションログオン時間が、テスト前はFair(黄色)だったものが、すべてExcellent(青)に変化したことがわかります。 |
御覧いただてわかるように、Azure NetApp Filesに移行するだけでFSLogixのパフォーマンスが向上し、結果としてプロファイルコンテナのロード時間が短縮されることが確認できます。更にプロファイル内のAppDataもFSLogixのプロファイルコンテナ内に格納されるので、アプリケーションのパフォーマンスの向上も期待できます。
Citrix Cloud with Azure Virtual DesktopとFSLogix
CitrixとFSLogixは親和性の高いソリューションです。Azure Virtual DesktopをCitrixで拡張する場合はWVDのHost Poolは使用しません。従って複数のHost Poolを跨ぐようなAzure Virtual Desktopの運用、すなわち1人のユーザーに対して、複数のホストプールから複数デスクトップやアプリケーションを提供するような環境でも、単一のプロファイルコンテナのみでの運用が可能になります。
FSLogixとCitrixとの連携機能例
複数のVMでホストする仮想アプリケーションや複数のVMを同時に利用するユーザーはセッションが分散することがあります。このようなケースでもアプリケーションの設定やプロファイルの整合性を維持するための機能がCitrixには実装されています。
まとめ
Azure NetApp Filesは簡単に展開できるAzureのネイティブの共有ファイルストレージサービスです。Azureに組み込みこまれた管理機能を使用し、優れたパフォーマンスを提供します。FSLogixは古くからCitrixのサードベンダーソリューションであり、CitrixのAzure上のVDIとの親和性も高いです。すなわちFSLogixとAzure NetApp Files、Citrixの組み合わせは、Azure VDIにおいて非常に親和性の高い有効なソリューションになります。
Part 2では具体的なAzure NetApp File導入の方法やCitrixのプロファイルソリューションとFSLogixとの親和性も紹介する予定です。
注意事項
本ブログの内容は2019年12月時点の情報に基づいております。ここで紹介する内容は事前の予告なしに変更される場合があります。本記事の内容によって生じる、いかなる損害に対して一切の責任を負うものではありません。