本ブログは 2017 年 3 月に Citrix 本社のソフトウェアエンジニア Joseph Anderson が執筆したブログ「Power Management of a XenApp & XenDesktop Service Resource Location」を日本語訳(意訳含む)したものです。

■サマリー

  • Citrix Cloud の XenApp and XenDesktop Service で利用可能な電源管理機能として、Citrix Studio からの電源管理と、Smart Scale による電源管理の2つがあることを理解します。

■以下本文

クラウドの素晴らしい点は、必要な時に必要なだけサービスを利用でき、利用した分だけ料金を支払えば良い点です。 Microsoft Azure のようなパブリッククラウドの場合、実行中のリソースに対してのみ料金が請求されます。電源管理計画により、ユーザーはクラウドリソースの使用を適切に削減し、コスト削減を達成できます。この記事では、Citrix Cloud XenApp and XenDesktop Service のリソースロケーションをパブリッククラウドにホスティングするためのベストプラクティスをいくつか紹介します。

パブリッククラウド内のリソースロケーションをホスティングするコストの大部分は仮想マシンに関連しています。マシンが使用されていないときに停止するために利用できる方法は、2つあります。

1つは、Citrix Studio からの VDI マシンのデリバリーグループでの電源管理機能です。この機能を使用すると、特定の期間に特定のマシンを起動および停止することができます。たとえば、通常の営業時間内に仕事をするユーザー用のデスクトップのデリバリーグループがあるとします。午後 5 時以降、ユーザーが短い時間の間 VDI への接続を切断した場合、マシンの電源を自動的に切ってリソースコストを削減することができます。

注意 : サーバー OS 向けは再起動設定のみとなります。

[Citrix Studio の Power Management 画面]

2つ目の方法は、Citrix Smart Tools にある Smart Scale を使用する方法です。 Smart Scale を使用すると、定義したスケジュールやユーザーセッション数に基づいて、XenApp と XenDesktop サイト内のマシンのプロアクティブなスケーリングと電源管理が可能になります。 Smart Scale を使用すると、マシンの使用率を制御しつつ、ユーザーが必要になったときにアプリケーションやデスクトップにアクセスできるようになります。Smart Scale は、デリバリーグループごとに構成可能です。Smart Scale を含む Smart Tools は、XenApp and XenDesktop Service サブスクリプションに含まれています。

[Smart Tools トップページ]

[Smart Scale 設定画面]

Smart Scale では下記3つのスケーリング設定が可能です。

  • Load-based and schedule-base scaling (負荷状況とスケジュールに基づいたスケーリング)
  • Schedule-based scaling only (スケジュールに基づいたスケーリング)
  • Load-based scaling only (負荷状況に基づいたスケーリング)

詳細は Smart Scale のドキュメント「Manage Delivery Group capacity with Smart Scale」を参照ください。

下表に電源管理におけるスケーリングの対応状況を示します。

 インターフェース  OS 負荷状況 スケジュール 負荷状況 &
スケジュール
Citrix Studio サーバー OS
VDI (プール)
VDI (専用)
Smart Scale サーバー OS
VDI (プール)
VDI (専用)

Smart Scale で上記表の「VDI (プール)」の電源管理を行う場合、Citrix Studio 側の電源管理を無効化する必要があります。これは、Citrix Studio と Smart Scale の電源管理がコンフリクトするためです。

Citrix Studio 側の電源管理を無効化するには、下記を参考に PowerShell から無効化する必要があります。

https://manage-docs.citrix.com/hc/en-us/articles/212715743-About-Smart-Scale

Citrix Cloud XenApp and XenDesktop Service には大きく2つの電源管理機能がありますが、電源管理すべきではないものも把握しておくことも重要です。まず、ドメインコントローラの電源をオフにしないでください。これらは認証に必要であり、ユーザーが Storefront のワークスペースにアクセスできなくなります。次に、常に 2 台以上の Citrix Cloud Connector が稼働している必要があります。Cloud Connector は、Citrix Cloud とリソースの場所の間の通信チャネルであるため、中断を最小限に抑える必要があります。

上記を理解し、適切な電源管理を行うことで、最適なコスト削減を実施しつつ、安定した接続環境を提供することが可能となります。