2017年3月にリリースされたCitrix CloudのXenApp and XenDesktop Serviceを社内の評価環境で使ってみました。実際にXenApp and XenDesktop Serviceを評価してみたいとお考えの方は、是非このブログを参考にしてください。
Citrix Cloudは従来オンプレミス環境で構築していたデリバリーコントローラー、データベースサーバー、ライセンスサーバー、StoreFront、NetScaler (XenDesktop Essentials除く)をクラウド環境でCitrixが管理し、デスクトップやアプリケーションサーバー、Active Directoryをお客様環境で管理するハイブリッド型の仕組みです。
従来のオンプレミス環境
Citrix Cloud環境
Citrix Cloudでは3種類のサービスを提供しております。ライセンスについてはすべてサブスクリプション方式となっています。(XenApp and XenDesktop Serviceは1年契約での更新。XenApp EssentialsおよびXenDesktop Essentialsは1ヶ月単位の契約で自動更新)
・XenApp and XenDesktop Service
XenAppおよびXenDesktopの機能をフルに提供。Azure/Amazon/パブリッククラウド/オンプレ環境すべてに対応しております。Citrix販売パートナー様から提供されます。
・XenDesktop Essentials
Windows 10 CBBをAzure基盤より利用できます。こちらはMicrosoftのMarket Placeより提供されます。MicrosoftとEnterprise License Agreementが必要になります。
・XenApp Essentials
XenAppの公開アプリケーションがAzure基盤より利用できます。制限事項として公開デスクトップはご利用になれません。
・XenApp and XenDesktop Serviceの構築
以下では,XenApp and XenDesktop Serviceを使って、オンプレミスで公開アプリケーションとVDIのマシンを構築しました。
用意したもの
・Active Directoryサーバー(シングルフォレスト・シングルドメイン環境)
・Cloud Connector用のWindows Server 2台(ドメインに所属)
※Cloud Connectorはインターネット接続ができることが条件
・Windows Server 2016(XenAppの公開アプリケーションで利用)
・Windows 10 Enterprise(VDIとして利用)
・XenApp & XenDesktop Serviceを利用するためのアカウント
https://docs.citrix.com/en-us/citrix-cloud/overview/requirements.html
今回の評価では上記のサーバーをオンプレミスのXenServer 7上で稼動させています。こちらは物理サーバーでも他のハイパーバイザーでも動作可能です。
イメージ図
手順
○ Cloud Connectorのインストール
1 Citrix Cloudにログインします。
https://citrix.cloud.com
Username: xxxxxxxxx
Password: xxxxxxxxx
2 Resource LocationにあるEdit or Add Newをクリックします。
Citrix Cloud ConnectorよりDownloadをクリックします。(2台インストールします。)
3 インストールが終了後、Domainが1と表示されます。
4 Identity and Access ManagementにCloud Connectorが追加されていることを確認します。
Cloud Connector は非常に重要なコンポーネントです。オンプレ環境にあるアプリケーションサーバーおよびVDIはこちらのCloud Connectorを通して接続を行います。
○ Studioの設定
Manage -> Service Creationを選択するとCitrix Studioの画面が表示されます。この画面はHTML5ベースで表示されています。
こちらの設定は通常のXenApp/XenDesktopでご利用になっているStudioとほぼ同様と考えてください。デリバリーコントローラーについてはCloud Connectorを指定する以外は同じになります。
○Virtual Desktop Agent(VDA)のインストール
Windows 10およびWindows Server 2016にCitrix Cloudで提供されているVDAをインストールします。Desktop OS Coreは物理PC用になりますので仮想環境にはインストールしないようにお願いします。
○接続確認
XenApp/XenDesktop ServiceにはあらかじめNetScalerが用意されております。
今回はこちらを利用して接続を行います。Manage -> Service DeliveryにあるURLをご利用下さい。(図中のURL部分は個人の環境につき塗りつぶしていることをご了承下さい。)
なお、StoreFrontやNetScalerをオンプレミスにご用意する場合は、上記のスイッチをDisableにして下さい。二要素認証などで別途NetScalerをご用意する場合はこちらで切り替えます。
上記のURLを利用してログインします。(今回はWindows 10を公開しています。)
ログイン直後の画面
運用ではお気に入りに登録することをお勧めします。
アプリケーションのアイコンをクリックします。
デスクトップのアイコンをクリックします。公開されたデスクトップが表示されます。
Windows 10のアイコンをクリックすると起動が確認できました。
○ライセンスについて
XenApp and XenDesktop Serviceを利用する場合、CitrixライセンスについてはCitrix Cloudの費用に含まれますが、接続先のVDIや公開アプリケーションのためのMicrosoftライセンスは別途必要になります。
○MCS(Machine Creation Service)の利用
Citrix CloudではMCSの利用が可能です。(Azure・Amazon・プライベートクラウド・オンプレすべて)従来と変わらない構築方式が実現できます。
○二要素認証
Citrix Cloudで二要素認証を実現するには、リソースロケーション側にNetScaler (VPX可)とStroreFrontを構築していただく必要があります。その場合は、必ずService DeliveryでStoreFrontとNetScalerのスイッチをDisableにして下さい。
参考までにHPE様が構築したレポートがございますのでこちらをご覧下さい。
IceWall技術レポート:VDIをワンタイムパスワードで認証強化
○Provisioning Servicesの利用
残念ながら2017/4/15 現時点ではAzure・AmazonではProvisioning Servicesはご利用できません。しかしながらオンプレ環境であれば、Provisioning Servicesサーバーを別途構築すれば実現できます。こちらの方法についてはいずれブログでご紹介したいと思います。
○Smart Toolsの利用
CitrixではSmart Toolsというツールをお客様リソース環境(Azure環境を含む)に提供しています。電源管理・ヘルスチェック・バージョンアップなど運用管理で必要な手順を自動化することが実現できます。
https://www.citrix.co.jp/products/smart-tools/
○まとめ
Citrix Cloud (XenApp and XenDesktop Service)は、従来の構築や導入までのスピードを大幅に削減することができます。そのためビジネスのスピードアップが期待できると考えています。またサポートについても環境そのものがCitrix側にあるため問題発生時の解決のスピードが今まで以上に速くなると考えています。今回の評価にあたっては、構築から接続までのかかった時間はおおよそ2時間程度です。純粋にXenApp/XenDesktopを評価することでもこのクラウド環境の利用は役に立つものと考えます。
Citrix Cloud紹介のページ
https://www.citrix.co.jp/products/citrix-cloud/
XenApp and XenDesktop Service の評価:事前チェックリスト