明けましておめでとうございます。Citrix SEの井深祐輝がちょっとした仮想デスクトップTipsをお届けします。
今回のテーマは、「仮想デスクトップでのショートカットキー操作による作業効率向上」です。
Windows環境では、例えば「Alt + Tab」によるウィンドウの切り替えや「Ctrl + Esc」でのスタートメニューの表示など駆使されている方も多いのではないでしょうか。ショートカットキーは覚えてしまえば、マウス操作よりも素早く操作できることで作業効率が上がります。
本ブログでは、「ホットキー」と呼ばれるCitrixが用意したショートカットキーの組み合わせを始め、動作を理解するための基本的なポイントをご紹介します。
「Ctrl + Alt + Del」キーが効かない!?
業務でお使いのPCの場合、ほとんどのケースでは企業のセキュリティポリシーに基づき、一定期間が経過したタイミングでパスワード変更を求められると思います。ユーザーによるパスワード変更を許可している場合、有効期限を迎える前に以下のようなポップアップメッセージを表示させることが可能です。これらはWindowsのグループポリシーによって設定します。
Windows OSの場合は上記メッセージに表示されているように、「Ctrl + Alt + Del」キーを押し、表示される画面から「パスワードの変更」をクリックすることでパスワードの変更を実行できることは、広く知られていることです。
XenApp/XenDesktopを始めとする仮想デスクトップ環境では、ポップアップメッセージに従って「Ctrl + Alt + Del」キーを押した場合、ローカル(クライアント)側にキーシーケンスが送信されてしまい、所望の操作ができない場合があります。同じような課題はリモートデスクトップ環境やハイパーバイザー上の仮想マシンを操作する際にも生じ、解決策としてコンソールから「Ctrl + Alt + Del」キーを送信する機能を実装していたり、「Ctrl + Alt + End」を押すことで、リモートデスクトップ側に「Ctrl + Alt + Del」キーを送信できたりします。
XenApp/XenDesktopでは、このようなキーシーケンスの送信や、ショートカットキーの扱いを様々な方法で実現し、利用者の生産性を高める工夫がなされています。ただし、XenApp/XenDesktopの利用の仕方やユースケースによって動作が変わるところに注意が必要です。
Desktop Viewerを有効化している場合
Desktop Viewerによって、仮想デスクトップの表示画面のリサイズや、周辺機器の切り替えをユーザーによって制御できるようになります。この機能はデフォルトで有効化されており、以下に示すようなツールバーによる操作を行います。
Desktop Viewerを有効化している場合、「Ctrl + Alt + Del」キーはツールバーより送信します。
また、ショートカットキーにはDesktop Viewerを最大化しているかウィンドウ表示しているかで動作が変わるものもあります。
例えば、アプリケーション切り替えの際に便利な「Alt + Tab」キーは”Desktop Viewerを最大化している場合”は仮想デスクトップ側に、”Desktop Viewerをウィンドウ内に表示している場合”はローカル(クライアント)側に送信します。
代表的なWindows用キーボードショートカットの動作について以下にまとめます。
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※Desktop Viewerを最大化している場合は仮想デスクトップ、ウィンドウ表示している場合はローカルに送信される | ||||||||||||||||||||||||
その他、Desktop Viewerの独自機能として、Ctrl + Alt + Breakキーを押すと、ポップアップウィンドウでDesktop Viewerツールバーが開きます。
【ユーザーエクスペリエンスの向上】
https://docs.citrix.com/ja-ja/receiver/windows/4-4/ica-improve-the-user-experience-v2.html
Desktop Viewerを無効化している場合
Desktop Viewer機能は無効化することも可能です。ただし無効化するとツールバーが利用できなくなるため、ツールバーでできた操作をどうするか検討する必要があります。
【Desktop Viewer is Showing Up Even though it has been Disabled Through the web.config File】
http://support.citrix.com/article/CTX202450
ホットキーシーケンスは、Citrixにより設計されたキーの組み合わせです。 例えば、Ctrl + F1シーケンスはCtrl + Alt + Delキーを再現し、Shift + F2シーケンスはアプリケーションの全画面モードとウィンドウモードを切り替えます。
Desktop Viewerで表示されている仮想デスクトップ(つまり、XenDesktopセッション)ではホットキーシーケンスをデフォルトでは使用できないことに注意してください。なお、公開アプリケーション(つまり、XenAppセッション)では使用できます。
※Desktop Viewerで表示されている仮想デスクトップでホットキーシーケンスを利用する方法に関しては、下記<備考2>をご参照下さい。(2017/4/19追記)
環境によって利用出来るホットキーの有無を以下のように設定してください。ICAファイル(default.ica)の編集もしくはグループポリシーの編集によって設定します。
【How to Enable or Disable Hotkeys within an ICA File(including Template ica file)】
http://support.citrix.com/article/CTX140219
※Receiver for Windows 4.4ではADMテンプレートは、「C:\Program Files(x86)\Citrix\ICAClient\Configuration」フォルダにreceiver.admxとreceiver.admlファイルとなっており、このファイルを指定のフォルダにインポートします。
ホットキーの役割とデフォルトで割り当てられているキーシーケンスの組み合わせをまとめます。
※本ブログでは、Receiver for Windows 4.4、StoreFront 3.0.1、XenDesktop 7.7の環境で動作確認しました。
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<備考1>キーボードレイアウトはどうなる?
参考情報として、ユーザーの手元で操作するデバイスと仮想デスクトップ側のキーボードレイアウトの対応について記します。
例えば、いつもは日本語配列のキーボード(106/109)のPCを使用して仮想デスクトップを操作しているが、海外出張先などで英語キーボードのPCから同じ仮想デスクトップに接続したような場合、キーボードレイアウトはどうなるでしょうか。
Citrix ICAプロトコルでは、クライアントのキーボードタイプを動的(ログオフすることなく)に判別し、それに従ったキーボードレイアウトで仮想デスクトップを操作することが可能です。
<備考2>Desktop Viewerで表示されている仮想デスクトップでホットキーシーケンスを利用する方法
Receiver for Windowsがインストールされている端末のレジストリを以下のように編集します。
32bit Windowsの場合:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Citrix\ICA Client\Engine\Lockdown Profiles\All Regions\Lockdown\Client Engine\Hot Keys
Name: AllowHotkey
Type: REG_SZ
Data: 1
64bit Windowsの場合:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Wow6432Node\Citrix\ICA Client\Engine\Lockdown Profiles\All Regions\Lockdown\Client Engine\Hot Keys
Name: AllowHotkey
Type: REG_SZ
Data: 1
新年から生産性高いスタートを切るために、今一度お使いのキーボード設定を見直してみてはいかがでしょうか。
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