はじめに
Raspberry Pi(ラズベリーパイ)とは、英国のラズベリーパイ財団によって開発されたARMプロセッサを搭載した名刺サイズの小型コンピューターで、子供や学生向けにコンピューター技術の教育目的で35ドルという安価で販売されています。現在日本でも4500円程度で入手することができます。

メディアサーバーやプリンターサーバ、あるいはLEDやLCDを用いた電子工作など、さまざまな用途に使うことができますが、今回はシンクライアント環境を構築し、Citrix XenApp / XenDesktopへ接続する手順について解説したいと思います。

最低限必要なもの

  • Raspberry Pi (Model B)
  • SDカード (4GB以上 Class 10)
  • SDカードリーダー
  • WindowsまたはMacの端末 (SDカードへのOSインストールおよびSSH接続のターミナルとして使用)
  • USBキーボード
  • USBマウス
  • HDMIケーブル
  • 液晶モニタ (HDMIポートがないものはHDMI<=>VGA変換ケーブルを使用する)
  • LANケーブル
  • Micro USB電源 (Androidスマートフォンなどで使用されている)

上記に加えて、StoreFrontを使用したCitrix XenApp / XenDesktop 環境はすでに構築されているものとします。

OSインストール手順

  1. まずWindows/Macの端末でRaspberry Pi Thin Client project からイメージをダウンロードします。現時点ではRPi-TC ARMv6j Release 5 が最新となっています。
  2. ダウンロードに時間がかかりますので、その間にRaspberry Pi本体にUSBキーボードおよびマウス、ディスプレイ、LANケーブルを接続します。(電源ケーブルはまだ接続しません)
  3. 次にWindows/Mac端末でイメージをSDカードに書き込むためのツール (Win32DiskImager) をダウンロードします。
    カードリーダーにSDカードを挿入して、Windows/Mac端末に接続します。
  4. イメージのダウンロードが完了しましたら、解凍してimgファイルを取り出します。
    Win32DiskImagerを起動して、imgファイルを指定し、DeviceでSDカードのドライブを指定して、Writeボタンをクリックします。
  5. 「Write Successful」のメッセージが出たら、SDカードを取り出し、Raspberry Piに挿入します。
    電源ケーブルを接続すると、自動的にOSが起動します。
日本語環境の設定

OSが起動しましたら、日本語環境の設定を行いましょう。

  1. まずタイムゾーンをUTCからTokyoに変更します。
    デスクトップを右クリック → Applications → LXTerminal
    $ sudo dpkg-reconfigure tzdata

    (パスワードを求められたらraspberryと入力)

    Asia → Tokyo を選択してOK
    デスクトップの時計が日本時間に変更されていることを確認します。

  2. 日本語キーボードの設定を行います。
    デスクトップを右クリック → Configurations → Change Keyboard Configuration
    Generic 105-Key (Intl) PC → Other → Japanese → Japanese (OADG 109A)
  3. ロケールを日本語に設定します。
    デスクトップを右クリック → Configurations → Change Locales
    ja-JP.UTF-8 UTF-8
    を選択してOK
  4. 次に既存のパッケージをアップデートします。
    $ sudo apt-get update

    $ sudo apt-get upgrade
  5. 日本語フォントなどをインストールします。ここでは東風ゴシックの例を示します。(お好みで他のフォントでもよいでしょう)
    $ sudo apt-get install ttf-kochi-gothic
  6. Autostartのアプリケーションを変更します。
    デスクトップを右クリック → Configurations → Change Autostart Applications
    @leafpad /opt/PLEASE_README

    の行の先頭に#を追加し、コメントアウトします。

    OS起動時にCitrix Receiverを自動的に起動するように、

    #@/opt/Citrix/ICAClient/selfservice

    の行から#を削除します。

  7. 一旦リブートします。
    $ sudo reboot
XenApp / XenDesktopへの接続

OSが起動しましたら、いよいよXenApp / XenDesktopに接続します。

  1. Citrix Receiverが自動的に起動しますので、EULAを読みAcceptします。
  2. StoreFrontのアドレスを入力し、ユーザー名とパスワードを入力してログインします。
  3. ログインに成功しますと、Storeのアプリケーション/デスクトップ一覧が表示され、ダブルクリックでアプリケーションまたはデスクトップに接続することができます。

いかがでしたでしょうか?
市販のシンクライアントのスペックには劣る部分もありますが、用途によっては実用可能ではないでしょうか?
またRaspberry Piは無線LANやBluetoothなども実装可能であり、Webや書籍などでカスタマイズする方法が紹介されており、柔軟性も兼ね備えていると言えるでしょう。